先日、足骨間神経腫(モートン神経腫)のご相談をいただきました。
モートン神経腫が起こる原因としては、
・つま先立ちの際に足の指が背屈すると中足骨横靭帯の遠位端の下にある足底神経が巻き込まれる
・反復的に神経線維と周辺の血管に微細な損傷が起こることによって形成された瘢痕組織による圧迫
・様々な程度の腓骨周囲の線維化
・ガングリオンや嚢胞による圧迫
・中足趾節滑液包炎
・中足趾節関節の亜脱臼
・中足骨骨折
などが挙げられます。
1876年にThomas Mortonが最初にこの病態を中足骨頭間の指節神経の圧迫が原因であると説明し、モートン神経腫と呼ばれています。
症状は趾間部の鋭い焼けるような痛みと、足の指に放射状に広がるヒリヒリ感、前足部の感覚異常。
痛みが発現する部位は足底側が一般的です。
当院にお越しになるモートン神経腫の患者さんの多くは女性。世界的な統計でも女性に多く発症しています。
外科手術やコルチコステロイド注射などが治療方法として選択肢に上がりますが、加えてカイロプラクティックも治療の一助になると思います。
しかしカイロプラクティックだけだと重症度によっては治癒までに相当の時間がかかるため、外科手術後の予後のメンテナンスや、コルチコステロイド注射との併用が現実的ではないでしょうか。
カイロプラクティックが重要な役割を果たすモートン神経腫の原因はいくつかあります。
まず足関節の背屈制限。
足関節背屈が適切に行われていないと歩行中に踵が早期に持ち上げられたり、前足部圧が上昇したりするなどの補正が行われるため、前足部に痛みが生じることがあります。
また、足関節の回内が中足骨骨頭の過剰可動性を引き起こす可能性も指摘されています。
足関節の支持力の変化とバイオメカニクスの変化が骨間筋に作用し、筋膜の硬直が増加することで神経への負担を増幅しているという仮説も考えられます。
よって、足関節の機能回復は非常に重要な課題と言えます。
次は原因として上記した瘢痕組織、筋膜の硬縮など軟部組織のリリース。
特に足底神経に神経にクロスするように覆っている足背部の筋膜の処置は治療していて非常に重要なポイントだと感じます。
手術や注射で痛みをある程度取り除いたら、原因となる構造的、あるいは機能的な問題をカイロプラクティックによって排除することで、治療後の予後が良好になると同時に再発防止に役立ちます。