今回のブログは、妊娠中栄養学…正確には妊活中栄養学に関するデータを簡単にまとめてみたい。
妊娠前の母体の適切な栄養状態は、妊娠期間中の適切な栄養摂取と同様に、母体と胎児の様々な病態を予防するために必須である。
魚類は良質なタンパク質、長鎖多価不飽和オメガ3脂肪酸(LCPUFA n-3)、ビタミンD、ヨウ素、セレンなど、胎児の成長と発育に重要と考えられる栄養素を含んでいる。
近年、多くの研究が、妊娠中の魚摂取が良好な新生児転帰を示しており、米国心臓協会と米国産科婦人科学会は、妊娠中または授乳中女性は低水銀の魚を1週間に2食摂取することを推奨している。
環境保護庁(EPA)と食品医薬品局(FDA)は発達中の胎児に十分なドコサヘキサエン酸(DHA)を供給すると同時に、成熟期の神経系を水銀の神経毒性から守ることを目的として、妊婦は高水銀魚種(サメ、メカジキ、キングマカレル)を避け、低水銀のサケ、エビ、ナマズ、タラを選ぶよう妊婦に推奨している。
また、過去の研究では魚の摂取と早産率の減少、妊娠期間の延長、出生体重の増加との関連性が実証されている。
また、妊娠は母体の血清DHA濃度の低下と関連することから、妊娠中は母体のDHA必要量が100~200mg/日増加するがDHA必要量を満たす食事をしている妊婦はわずか2%に過ぎずない。また、妊娠適齢期女性の85%がDHAを欠乏しているというデータもある。
リンクの研究は、501人の女性を対象に妊娠および新生児転帰に関連する魚およびDHAサプリメント摂取量を調査することを目的としたもの。
魚および/またはDHA摂取が妊娠中の良好な体重増加と相関するかどうか?分娩のタイプ(自然分娩または帝王切開)、および分娩の妊娠期間との相関は?。
また、新生児転帰について出生時体重と体長を調べている。
二次解析では早産との相関、妊娠前BMIと魚の摂取またはDHAの摂取が新生児の転帰に及ぼす相互作用についても検討しいる。
【結果】
対象者の92%が毎週魚を摂取しており、非摂取者と比較して週3回以上魚を摂取している人では妊娠時体重増加、出生時体重、体長において有意差が観察された。
【結論】
バランスのとれた食事の一部として魚類を選択する一方、環境汚染物質の濃度が高いことが知られている魚種の摂取を制限するとしている現在の勧告を支持する結果だった。
水銀やその他の汚染物質は、低濃度であっても胎児の神経発達に悪影響を及ぼす可能性があるが、DHAサプリメントの使用は水銀や毒素にさらされるリスクがない安全な手段である。
一方で、魚の代わりにサプリメントを選ぶ女性は魚に含まれる他の重要栄養素を摂取し損ねる可能性がある。
・妊娠中や授乳中の女性、乳幼児や小児に至るまで、妊娠後1000日間を通して魚を摂取することで新生児の最適な成長と発達をサポートできることが証明されている。魚はn-3系、セレン、ヨウ素、ビタミンA、B12、Dの主要な供給源である。
・n-3系、特にDHAの十分な摂取は胎児の最適な神経発達に不可欠であり、様々な周産期および長期的な不利な出産転帰からの保護効果も期待できる。DHAは妊娠第1期以降、脳に急速に蓄積され始め、2歳になるまで蓄積され続ける。
・魚には水銀が含まれている可能性があり、バクテリアによってメチル水銀に変換されて魚の脂肪組織に蓄積する。妊娠中および幼児期に水銀に曝露するることは有害であり、高濃度の場合は胎児の神経系発達に悪影響を及ぼす。したがって、妊婦は大型の魚を避け、低水銀の魚を2~3皿/週を超えないようにすることが推奨されている。EFSAは、週に2皿までの魚を摂取する妊婦において、メチル水銀暫定耐容週間摂取量(PTWI)を超えることはあり得ないと述べている。妊娠中の母親の魚の摂取量が中程度(1.69サービング/週)だったイタリアの研究では水銀への出生前曝露は低く、発育への悪影響は検出されなかった。
・母親の魚摂取量と出生時体重の増加との間に正の相関があることが明らかになった。
これは、30g/日の脂肪分の多い魚の摂取と周産期の転帰との間に正の相関を示した最新レビューと一致している。
・魚を週に3回以上摂取する女性から生まれた乳児は、摂取しない女性から生まれた乳児に比べ、出生時の体長が有意に長かった。
・魚の消費量と早産のリスクについて検討した結果、早産はサンプル全体の5.9%を占め、2019年にイタリア国立衛生研究所が報告した6.4%よりも低かった。
・妊婦はn-3リッチ植物油や魚の摂取だけでは、n-3必要量を満たすことはできない。
・この研究におけるDHAサプリメント摂取に関して、摂取しなかった女性群と比較してサプリメント摂取により妊娠期間が統計的に有意に延長している(+3日)。n-3は陣痛を誘発するプロスタグランジンFおよびEの活性を低下させる可能性がある。一方で、プロスタサイクリンのような子宮筋膜弛緩作用を持つエイコサノイドの活性は増強されることから、このメカニズムが妊娠期間が延長すると考えられている。妊娠期間の延長は新生児の体格に好影響を及ぼす。
・出生体重と体長に関してDHAの有効性は観察されなかった。この差は、サンプルが妊娠中に1日200mgのDHAを摂取していたことと関係がある可能性がある。この量は、2018年のコクラン・レビューに示された量よりもはるかに少ない。
妊活中の方は普段どの程度の魚を摂取していますか?
中には魚が嫌いな方もいるでしょうから、うまくサプリメントを活用してn-3を補充してみてください。
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産後ダイエット、体質管理にも非常に有益な内容になっています。
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