最近、友人の女性が乳がんで他界してしまいました。
乳がんで友人をなくすのは今年に入って二人目です。
彼女は、無愛想で周りが敬遠しがちな私になぜかいつも良くしてくださって、心に壁がないと言いますか、非常におおらかでチャーミングな素敵な方でした。
もっと彼女に力添えできることはなかったのか、自問自答する日々です。
今回のブログはタイトルの通り、ケンペロールの抗がん作用についてデータをまとめてみたい。
ケンぺロールは、抗酸化作用、抗炎症作用、神経保護作用、抗がん作用を有する天然フラボノイドで、抗腫瘍、抗増殖、アポトーシス作用に加えて非がん細胞を保護する作用を持つ。
また、ケンぺロールはDNA損傷の誘導、カスパーゼ3/カスパーゼ9/pAMT発現の増加、Nrf2調節による活性酸素産生を調節、切断PARPとBaxの増加、Bcl-2発現のダウンレギュレートによるアポトーシス誘導、G2/M期での細胞周期停止、JAK-STAT3経路の調節による免疫回避の抑制、MMP-3およびMMP-9レベルのダウンレギュレーションによる腫瘍の血管新生および転移能の抑制といった多彩な作用による抗乳がん効果を示すことがわかっている。
さらに、ケンぺロールは抗がん剤の有効性を高め、その効果を補完し、あるいは開発された化学療法抵抗性を逆転させることが期待されている。
リンクのレビューは、抗TNBC薬としてのケンぺロールの可能性に関する最新研究を要約したもの。
【レビューの結論】
乳がんは様々な年齢層の成人女性における罹患率と死亡率の主因の一つ。
ヒトの癌の中でも特に侵攻性の高いタイプで、その不均一な性質は、特に後期での治療を困難にしている。
乳がんのサブタイプであるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン(ER)、プロゲステロン(PR)、ヒト上皮増殖因子(HER-2)受容体を欠くアグレッシブな表現型で、その分子的性質の違いから、標準的な治療法の利用可能性や臨床成績がさらに制限されている。
非常に重要で強力な天然化合物であるケンぺロールは様々な研究グループによって、各がん種について評価されてきた。その結果、ケンぺロールは複数の経路を調節し、抗酸化性、抗炎症性、抗増殖性、および抗腫瘍原性を含む様々な特性を提供することがわかった。
ヒトのがん、特にヒト乳がんでは主にDNA合成の阻害、活性酸素産生の調節、アポトーシスの誘導作用を示し、乳がん腫瘍の血管新生および転移能を阻害する。
このレビューは乳がん、特にTNBCにおいて、ケンぺロールが標的とする重要なメカニズムを示し、また、異なるヒトにおけるがんにおいて、ケンぺロールが様々なエピジェネティック・メカニズムを標的とする可能性を強調する。
The Anticancer Effects and Therapeutic Potential of Kaempferol in Triple-Negative Breast Cancer
ケンぺロール
・フラボノイドは低分子の多様なポリフェノール化合物。植物のプラスチドにおける代謝経路であるシキミ酸経路の産物として形成される。サブグループとして、フラバノール、フラボン、カルコン、フラバノン、フラバノノール、イソフラボンに分けられる。
・ケンぺロールは最も広く研究されているフラボノイドのひとつで、フラバノールサブクラスに属し、34′ 5 7テトラヒドロキシ基を持つフラボン骨格が構造的特徴。ケンペロールの発見はKaempferia galanga(バンウコン)の根茎から抽出されたのが始まりで、純粋な化合物はシダ植物門、針葉樹門、被子植物門を含む植物界の様々な種類の植物で観察される。
野菜では、ブロッコリー、キャベツ、タマネギ、グリーンピース、ホウレンソウ、イチゴ、グーズベリー、ブラックベリーなどに多く含まれる。
最も多く食べられている緑葉野菜であるほうれん草には、100gあたり約55mgのケンぺロールが含まれており、キャベツには100gあたり約47mgのケンぺロールが含まれている。
スパイスの中ではケーパーが最も多く、100mgあたり約104mgで、クローブとクミンがそれぞれ100gあたり約24mgと39mgである。
ヒトがんにおけるケンぺロールの抗がん作用
・果物や野菜の形でケンぺロールのようなフラボノイドを摂取することは、様々なヒトのガン発症率低下と関連している。
・ケンぺロールや他のフラボノイドは、複数の生理学的経路を調節することによって抗がん作用を発揮する。1970年代から80年代にかけて、複数の地域の伝統的薬効体系や食習慣から、ケンぺロールに抗腫瘍効果や化学療法による予防効果があることが明らかになった。当初、酸化ストレスの消去と炎症経路の調節がケンぺロールの抗がん活性の主な標的だった。
抗酸化作用と抗炎症作用は、ヒドラジンやH2O2によって誘発された大腸がんや肝がん細胞モデルで観察された。がん細胞に対する抗腫瘍原性、抗増殖性、アポトーシス作用に加えて、健康な非がん細胞に対しても保護活性を示すことがわかった。
・ケンぺロールを抗がん剤として評価した初期研究(03年)では、ケンぺロール処理によるA549肺がん細胞の増殖抑制が用量依存的に示されている。
また、Kaempferolyn(ケンぺローリン?)によるアポトーシスも、プロアポトーシスタンパク質とアンチアポトーシスタンパク質の発現の増加と減少によって検証され、A549細胞においてMEKMAPK誘導アポトーシスの活性化が確認された。08年の研究では、イチョウ葉抽出物から得られたケンペロールについて、膵臓がん細胞における同様の結果が報告されている。
・2021年の研究では、in vitroおよびin vivo膵臓がんモデルにおいて活性酸素依存的アポトーシス誘導が示された。活性酸素の発生に伴うこの抗がん活性の誘導が、組織トランスグルタミナーゼ(TGM2)を介したAkt/mTORシグナル伝達を介して行われることが示された。
・2016年、ヒト膵臓がん細胞株Panc-1、Miapaca-2、SNU-213に対する治療薬としてケンペロールを用いたin vitro研究では、用量依存的に有意な細胞毒性作用が示された。ケンペロールの抗転移作用は、EGFR関連SrcおよびERK1/2/AKT経路の阻害によって媒介されることも示された。
・2016年、ケンペロールがG0/G1細胞周期停止を誘導することが示された。食道扁平上皮がん(ESCC)のin vitroモデルにおいて、EGFRシグナル伝達の有意なダウンレギュレーションが示された。また、ESCCのin vitroモデルにケンペロールを投与すると、腫瘍環境で顕著に見られる好気的解糖が減少することもわかっている。ESCCのin vivo移植モデルでも、同様の観察結果が確認された。
・ヒト腎がん細胞のin vitroモデルにおいて、ケンペロールがアポトーシス効果と細胞周期停止を誘導することが示された。EGFR/p38シグナル経路、p21とサイクリンB1発現のアップレギュレーションとダウンレギュレーションが示された。この細胞増殖抑制とアポトーシスはPARP切断の活性化に関連していた。
・骨肉腫細胞(US-2 OS)のin vitroモデルでは、OS細胞に対して特異的な細胞毒性作用を示し、ヒト胎児性骨芽細胞前駆細胞(hFOB細胞)は免れることがわかった。US-2OS細胞において、細胞質Ca2+の有意な増加とミトコンドリア膜電位レベル低下を伴うアポトーシス誘導が報告された。また、GRP78、GRP94、GADD153、ATF6α、ATF-6β、カスパーゼ-4、カスパーゼ-12、カルパイン1、カスパーゼ3およびカスパーゼ6活性などの小胞体ストレス関連タンパク質やアポトーシスタンパク質の誘導も見られた。
・ヒト卵巣がんA2780/CP70細胞にケンペロールを投与すると、アポトーシスとG2/M細胞周期停止が誘導されることが報告されている。特に、卵巣がんin vitroモデルにおいて、ケンペロールによるG2/M細胞周期の停止が、Chk2/p21/Cdc2およびChk2/Cdc25C/Cdc2経路によって媒介されることが観察された。
・ケンペロールは抗血管新生能も誘導しうる。2009年、ケンペロールは卵巣がん細胞の生存率には有意な影響を及ぼさないものの、血管新生と血管新生タンパク質を阻害しうることが報告された。ケンペロールによって、強力な血管新生因子である血管内皮増殖因子(VEGF)のmRNAおよびタンパク質レベルが著しく低下した。また、HIF-α(VEGFの調節因子)の発現をダウンレギュレートした。
・ケンペロールは、異なるヒトがん細胞型の遊走と浸潤を阻害することが示された。
2021年、ヒト肝細胞がん細胞(HCC;Huh-7細胞およびSK-Hep-1細胞)を用いた研究で、ケンペロール投与がHCCの生存率、遊走、浸潤を有意に低下させ、抑制したことが報告された。この作用は、MMP9、カテプシンC、カテプシンD、リン酸化AKT(pAKT)の活性低下によって裏付けられた。
薬物療法とケンペロールの組み合わせ
・ケンペロールは他の治療薬との相乗作用、特に化学療法剤と併用した場合の相乗作用についても研究されており、特に、耐性がん細胞の化学療法感受性を高めることが報告されている。
・2003年、いくつかのフラボノイドを標準的化学療法剤と併用した場合の研究が行われた際に、ケンペロールを標準的化学療法剤と併用するというアイデアが生まれた。フラボノイドがドキソルビシンの細胞毒性活性を低下させ、細胞周期の停止をG2/M期からS期に移行させることによって、ドキソルビシンの抗がん活性が異なる形で調節された。その後、卵巣がん細胞において、細胞増殖とアポトーシスを制御するが薬剤耐性に関与するcMycの発現をダウンレギュレートすることが報告された。
・ケンペロールを5-フルオロウラシル、ドセタキセル、シスプラチンと併用すると、膵臓がん、前立腺がん細胞、頭頸部扁平上皮がんに対して相加効果を示した。
ケンペロールは化学療法抵抗性を逆転させる
・化学療法や放射線療法を含む標準的な抗癌剤治療は患者の全生存率を高めるが、有効性の低下や時間の経過に伴う耐性の発現を伴う。化学療法抵抗性の発現には、薬剤抵抗性タンパク質の誘導とエピジェネティックなメカニズムが関与している。
・活性酸素の発生や酸化ストレスの抑制など、さまざまなメカニズムでケンペロールは標準的な化学療法剤の化学療法抵抗性を逆転させることができる。2019年の研究では、耐性ヒトLS174結腸がん細胞において5-フルオロウラシル(5-FU)と併用投与した場合、耐性を阻害し逆転させる以外に、抗がん活性が増大する相乗効果も示された。ケンペロールは単独でも5-FUと併用しても、アポトーシス、細胞周期の停止を誘導し、活性酸素種(ROS)の産生を抑制することが示された。
・2023年、ケンペロールとベラパミルの併用が乳がんのex vivoモデルで、化学的浸潤を阻害することが耐性関連マーカーのダウンレギュレーションによって実証された。ケンペロールとベラパミルの併用が活性酸素の顕著な過剰産生を誘導し、化学療法抵抗性と腫瘍アシドーシスマーカーのダウンレギュレーションを誘導することが示された。
では、ケンペロールの効果をより引き出すためにはどういった摂取方法が良いのか?
また他の栄養素との組み合わせはどのような可能性が考えられるのか?
細かいでーたが当院には蓄積しております。
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