久しぶり(?)の投稿になってしまいました。
相変わらずパーソナルトレーニング、筋骨格系治療と様々なリクエストをいただいてこちらも日々勉強になることばかり。
最近興味深かったリクエストは、ゴルファーの方からいただいたフォロースルー期の拇趾球への体重のノリ・踏ん張りについて。
関節可動域制限の適正化によってだいぶ体感が良くなって、ゴルフのパフォーマンスも改善したとのご報告。多種多様いろんなケースがあるが、今回は筋腱移行部にポイントがあったケースだった。
さて、今回のブログのテーマは小児肥満のリスク要因について。
近年、小児の過体重/肥満の流行はうつ病、不安障害、自尊心の低下、小児期の一連の情緒・行動障害などの精神疾患に影響することから深刻な公衆衛生問題となっている。
過体重や肥満の小児は思春期や成人期に肥満になる可能性が高く、長期的に心血管疾患やがんリスクが高まり、身体障害や早死にを招く可能性が高い。
小児期の過体重および肥満予防の観点から、WHOは量的・質的な面での適切な妊産婦の栄養バランスの重要性を繰り返し勧告している。
適切な食事に関する過去の多くの研究では『地中海食』が最も健康的な食事パターンであることが示されていることから、妊娠中に地中海食(MedDiet)を母親が遵守することは子孫の肥満予防において有望な戦略となる可能性がある。
地中海食は、植物性食品(果物、野菜、ナッツ類、豆類、全粒穀物製品、オリーブ油)を多く摂取しつつ魚を適度に摂取し、赤身肉や加工肉の摂取は少ないことが特徴。
最近の研究では妊娠中女性がMedDietをより忠実に遵守することで、早産、胎児発育制限、出生時のSGA(small-for-gestational-age)児、小児肥満の潜在的危険因子と逆相関することがわかっている。
一方で、妊娠初期のMedDietスコアが低いと出生時のインスリン抵抗性マーカーに悪影響を及ぼし、後に小児肥満を引き起こす可能性があることが報告されている。
しかし上記の知見にもかかわらず、妊娠中のMedDietno遵守が乳児期の体組成や小児期の過体重および肥満リスクに及ぼす影響を検討したエビデンスは乏しい。
リンクの研究は、健康な272組の母子を対象に地中海ECLIPSESコホートにおける妊娠中女性のMedDiet遵守と4歳時の体重過多/肥満リスクとの関連をし、母親の環境要因によってこの相関が異なるかどうかを明らかにすることを目的としたもの。
【結果】
妊娠中の母親のrMedDietの遵守度が高いほど小児期の過体重/肥満のリスクが低かった。
この相関は、母親の高年齢、母親の妊娠初期のBMI、教育、社会経済的地位、喫煙、妊娠中の体重増加で層別化した後も同様の傾向が観察された。
【結論】
妊娠中にMedDietをより忠実に守ることで4歳時の子供の過体重/肥満リスクを予防できる可能性がある。この利点は、30歳未満、過体重/肥満、非喫煙者、または中流以下の社会階層の女性において顕著のようだった。
肥満が世界的に蔓延していることを考えると、この結果はMedDietの遵守が公衆衛生に重大な影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
・この研究は地中海沿岸のスペイン人妊婦と4歳の子供を対象に実施。MedDietパターンを忠実に守っていることと、母親の全妊娠期間中の食事の質が高いことは4歳児における体重過多/肥満のオッズが低いことを見出した。この相関は30歳未満、過体重/肥満、非喫煙者、低~中程度のSES妊婦においてより明らかだった。
・この研究は、妊娠中の母親の食事の質が幼少期の子供の健康に重要な役割を果たす可能性があることを強調する。母親の食事パターンを地中海食タイプに修正することが小児期の過体重/肥満予防の重要な戦略となりうることも示唆している。
・多くのエビデンスが、妊娠中の地中海食の遵守率の高さと母子の健康上の利益を結びつけている。これには、母親の妊娠糖尿病や体重増加リスクの減少、乳児SGAリスクの低下、小児期の心代謝障害からの保護などが含まれる。
・NEST(Newborn Epigenetics STudy)コホートによる米国研究では、妊娠初期に母親が地中海食(Mediterranean-type diet)をより多く摂取することは、3〜8歳時の子どもの身長に対する体重パーセンタイルの減少と関連することが明らかになっている。
・米国Project Vivaコホートの結果では、母親の第一期および第二期のMedDietの遵守と、幼児期初期(3歳)および幼児期中期(7~10歳)における脂肪率の指標としての子どものBMI zスコアとの間に有意な逆相関があることが明らかになっている。
・重要なことは、出生前rMedDiet遵守の小児期の体重過多/肥満に対して保護的効果は非喫煙者の母親で観察されたが、喫煙者で観察されなかったことである。この結果は妊娠中の喫煙が母親のrMedDietの有益な効果を大幅に希釈する可能性を示唆している。喫煙している母親は非喫煙者と比べて食習慣が悪くなりやすく、栄養不足になりやすい。
また、健康に関する意識・概念・行動が異なるため、子供の好ましくない体組成に影響を与える可能性がある。実際に、喫煙している母親の子どもは非喫煙者の母親の子どもよりも太りすぎ/肥満である可能性が高い。
この暫定的な仮説を確認または反証するためには、さらなる調査が必要である。
一方、妊娠前に喫煙をやめることは、小児期の過体重/肥満のリスクを減らすのに役立つかもしれない。母親の肥満と過剰なGWGもまた、小児期から成人期にかけての子孫の肥満に大きな影響を及ぼすようであり、これは遺伝的素因が優勢であることを示唆している。
先行研究と同様に、妊娠初期に過体重・肥満の母親であったこと、あるいは過剰なGWGを有していたことは、4歳時の子供の過体重・肥満と関連していた。
・重要なことは、母親のrMedDietが4歳児の小児期の過体重/肥満に対して及ぼす有益な影響は、過体重/肥満または妊娠性体重増加(GWG)妊婦においてより顕著であることが示されたことだ。このことは、妊娠中にrMedDietパターンを守ることが体重増加の遺伝的素因を少なくとも部分的に打ち消す可能性を示唆している。
・ヨーロッパの7つの出生コホートにおける16,295組の母子からプールされたデータを使用した最近の研究では、全妊娠期間中の高血圧を止めるための食事法(DASH)と10歳児の過体重/肥満との間の逆相関が報告された。
・MedDietパターンを研究する上で最も重視したのは、食事に含まれる食品と栄養素、抗酸化物質やポリフェノールなどの生物活性化合物の複合的な影響だった。MedDietを遵守している母親はそうでない母親に比べて、抗酸化ビタミン(ビタミンE、C、β-カロテン)、ビタミンD、葉酸、多価不飽和脂肪酸、食物繊維を多く摂取していた。これらは胎児のグルコース代謝にプラスの影響を与え、同時にマイクロバイオームも良好にすることで小児期の体重増加に対する感受性を低下させると考えられている。
・他の研究では、妊娠中のビタミンD、葉酸、ω-3多価不飽和脂肪酸などの微量栄養素の母体欠乏が非常に多く観察され、それらの要因はエピジェネティックな変化を通じて間接的に子孫の代謝プログラミングに影響を与え、最終的に小児肥満の一因となる可能性が示された。
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