先日、人生二回目の大腸内視鏡検査を受けてきた。
一度目は今回とは別の医院で行ったのだが、同じ大腸内視鏡検査でも担当する先生のタイプによって対応が全く異なることに驚いた。
一度目のところは、「ポリープの数が多かったから取りきれなかった。近々もう一回着てくださーい」を超音速早口で捲し立てられて、26000円くらい。
今回は「数が多かったけど全部取っておきましたよ。」で画像をみながら丁寧に説明してくれて18000円。
どちらも目黒区内の医院。
今回は選択肢を広げて正解でした。
そんなこんなで大腸モードだった先週。
大腸がんについて検索していたら興味深いデータがあったので簡単にまとめてみたい。
大腸癌(CRC)は多面的な疾患で、2020年には世界で190万人以上のCRC発症が確認されている。CRCの大部分は散発的に発生し、肥満、運動不足、食生活の乱れ、飲酒、喫煙などの修正可能な生活習慣が主な環境的危険因子。
食事と健康に関する研究では、栄養素が単独で大腸癌リスクに影響することはほとんどないことが示されており、生活習慣との複合的影響による影響が大きい可能性がある。
酸化ストレス(OS)は、プロオキシダントとアンチオキシダントのバランスがプロオキシダントに偏っている状態として定義され、活性酸素の主な原因となって大腸発癌に関与すると考えられている。
食事や生活習慣に含まれるプロオキシダントとアンチオキシダントを考慮して個人の抗酸化状態を評価するツールにoxidative balance score (OBS)がある。OBSは心血管疾患、糖尿病、がんなど、ヒトにおける主要疾患での細胞代謝の重要指標。
しかし一方で、OBSとCRCリスクとの関連に関する現在のエビデンスはまだ結論が出ていない。
80,063人を対象とした先行研究では、OSレベルが高いほどCRCリスクが高いことが明らかになったが、別の研究では全体的な抗酸化能とCRCリスクとの間に明確な関連は認められていないなど結果は矛盾している。
また注目すべきは、OBS構成要素は男性と女性で異なる点。
潜在的な性差を考慮しつつ、OSレベルとCRCリスクの関連性を明らかにした疫学的証拠を追加することは大腸癌を理解する上で非常重要と言えるだろう。
リンクの研究は米国の大規模集団において性別により層別化したレトロスペクティブ解析。Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial(PLCO)の成人98,395人を対象とし、OBSを構築するために酸化ストレスと複雑に関連する14の食事・生活習慣因子を定量化。
結果
867,963人年の追跡期間中に1,054のCRCが発生。平均(SD)年齢は65.52歳、OBSは14.09ポイントだった。
完全調整Coxモデルでは、女性ではOBSとCRC発生率との間に逆相関が観察されたが、男性では観察されなかった。この逆相関はCRC家族歴のない女性でより強かった。
この知見は、OSへの曝露が、特にCRCの家族歴のない女性において性特異的なCRCリスクをもたらす可能性を示唆している。
CRCの家族歴のない女性における抗酸化食と生活パターンの遵守がCRC予防に役立つ可能性を示唆している。
・サブグループ解析では、CRC家族歴のない女性はCRC家族歴のある女性に比べて逆相関が強いことが示された。この逆相関は潜在的な交絡因子を有する参加者を除外した感度分析においても頑健だった。
・CRCは食事や生活習慣と密接な関係があることが証明されている。例えば、地中海食(MD)やDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食パターンの遵守は大腸癌の発生率の低下と関連していることがいくつかの研究で明らかになっている。
・CRCの病態は、OSを増加させて抗酸化防御を損なう因子と密接に関係している。例えば、喫煙やアルコールのようなOBS生活習慣因子は活性酸素の産生を増大させ、抗酸化酵素活性やDNA修復能の低下が抗酸化防御を減弱させる。逆に、ビタミンEやカロテノイドなどの抗酸化栄養素を十分に摂取すれば過剰な活性酸素を除去し、抗酸化酵素活性を高め、DNAを酸化的損傷から守り、CRC発症を抑制することができる。
・OSによって生成された活性酸素種(ROS)は、タンパク質、核酸、脂質などの細胞高分子と相互作用することで重要な細胞機能を破壊することが実証されている。例えば、DNAの酸化的損傷は塩基の酸化、一本鎖や二本鎖の切断、非塩基性部位の生成をもたらす可能性がある。修復されない酸化的DNA損傷は突然変異発生リスクを高める。腫瘍抑制遺伝子やがん原遺伝子など細胞増殖の制御に不可欠な遺伝子に変異が生じると、CRCを引き起こす可能性がある。
・酸化ストレスにさらされた腸粘膜細胞の傷害に対する身体の反応は炎症である。炎症に繰り返し曝されると慢性炎症が誘発され、自己免疫プロセスが活性化される。炎症はエピジェネティックな変化を引き起こし、成長因子や炎症性サイトカインの産生を増加させることで大腸癌を促進する。
・複数の研究で、女性は男性よりも抗酸化力が強いとされている。これはエストロゲンに抗酸化作用があり、女性が酸化ストレスに弱いためと考えられる。今回の解析では、CRC罹患率は女性の方が低く、性別のベースライン特性から、男性に比べて女性は喫煙や飲酒を制限するなどより健康的なライフスタイルをとることが多く、酸化的障害や炎症を軽減する可能性があることが示された。さらに、女性は抗酸化栄養素の摂取量が多く、OBSスコアが高いことも示された。これは、酸化ダメージを最小限に抑えて酸化バランスを維持することで、CRCリスクを低下させる可能性がある
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