【地中海食パターン】
植物性食品、オリーブ油、魚、海産物摂取量↑
牛乳・乳製品の摂取量→ or ↓
鶏肉、赤身肉、加工肉摂取量↓
ワイン(食事中)摂取量→
食物繊維、抗酸化物質、オメガ3多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ビタミンBとE、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれている。
過去の研究、例えば英国女性コホート研究(UK Women’s Cohort Study)では、地中海食パターンは大腸がんリスクと逆相関しており、さらに、前立腺がん、胃がん、膵臓がんに対する予防効果があることが示されている。
地中海食の抗炎症作用を考えると乳がん予防にも効果がある可能性があるが、先行研究の結果は一致していない。
リンクの研究は、地中海食パターンの遵守と乳癌との関係を調査することを目的としたイランの研究。
結果
地中海食と乳癌との間に有意な逆相関が認められた。
潜在的交絡因子をコントロールした後、地中海食のスコアが最も高い三分位の人は、最も低い三分位の人と比較して乳癌に罹患する可能性が57%低かった。
この逆相関は閉経後女性でも観察された。
潜在的な交絡変数をコントロールした後では、地中海食パターンの高い遵守は乳癌の低オッズと関連していた。
この相関は閉経前女性では有意ではなかった。
・研究から、修正可能な危険因子として食事が乳がんなどのがんの病因に重要な貢献をしていることが明らかになった。
・地中海食パターンと乳癌発症率との間に逆相関が認められたが、地中海食と乳癌の相関は閉経前と閉経後では異なるようだ。閉経前女性よりも閉経後女性の方が逆相関のエビデンスが多い。
・閉経前女性と閉経後女性で観察された格差は、閉経前女性の体内エストロゲンによって説明できるかもしれない。エストロゲンは乳房における活性酸素種(ROS)産生を増加させることにより、乳癌リスクを高める可能性がある。また、遺伝子の不安定性を間接的に増加させることによって遺伝毒性を誘発することに加えて、過剰な活性酸素は酸化還元シグナル伝達経路を誘発することで乳癌発生を刺激する可能性がある。
・地中海食には抗炎症作用を有するMUFAとオメガ3脂肪酸が多く含まれている。炎症は乳癌発症の重要な危険因子である。また、食物繊維、リグナン、フラボノイド、およびエストロゲン代謝経路をサポートして閉経前および閉経後女性の乳がんを予防するエストロゲン調節作用を有するその他の化合物が地中海食には豊富に含まれている。
果物や野菜などの抗酸化物質が豊富な食品は、オキシダント種の産生を減少させることで乳癌に対する予防効果を有する。