我が国ではコロナウイルスの感染率が増加し、重症化率と死者数が下がっている。
多くの人は感染してから軽症〜中等症で推移するのであれば、問題はいかに症状を進行させず回復期間を早めることが、感染してしまった場合最大のテーマになる。
肥満や糖尿などが無い健康な人であれば、健康的な食事内容を徹底することで回復期間が長くなるかも知れない。
この研究は、サウジアラビアのCOVID-19生存者を対象に健康的な食事がCOVID-19からの回復期間に及ぼす影響を調査したもの。
日本人を対象にしたものでは無いが参考にはなる。
2015年のオランダ食生活ガイドラインに基づいて質問票を作成し、合計738人のCOVID-19生存者が研究に参加。
非入院患者では、より健康的な食事をしていることは回復期間の短縮と関連し、性別および婚姻状況によって有意な影響を受けた。一方、年齢やBMIとの有意な相関は見られなかった。
入院していない患者のCOVID-19対策として、健康的でバランスのとれた栄養療法が有効であることが示唆されたと結論。
Association of Healthy Diet with Recovery Time from COVID-19: Results from a Nationwide Cross-Sectional Study
・COVID-19は発症率の違いだけでなく、回復率にも国ごとに顕著な違いがありある。COVID-19が栄養や健康的な食生活などの文化的要因に影響されているのではないかという疑問が生じている。健康的な食事は免疫反応を強化し、感染症の発症率を低下させることと関連している。飽和脂肪、砂糖、精製炭水化物を多く含む食事は自然免疫と適応免疫を低下させ、慢性炎症を引き起こし、ウイルスに対する宿主の防御力を低下させる。したがって、不健康な食事をしている人は、COVID-19の重症化や死亡のリスクが高くなる可能性がある。
・健康的な食品で構成された地中海食のような食事は、感染症に対する免疫系の反応をサポートすることができる。
・オランダの食事ガイドラインが慢性疾患を予防するための健康的な食事パとして推奨しているパターンは、
・植物性食品の摂取
・動物性食品を控える
例えば、野菜を200g以上、果物を200g以上、無塩のナッツ類を15g以上、茶色いパンや全粒粉のパンなどの全粒粉製品を90g以上、乳製品を数回に分けて毎日食べることを推奨する一方で、赤身の肉、特に加工肉の消費を制限し、砂糖を含む飲料の消費を最小限に抑えることを推奨している。
・感染症からの回復に対する食事の影響は、これまでの研究でも調査されているが十分ではない。食生活とCOVID-19からの回復期間との関連性を調査した研究は非常に少ない。
現在、卵、魚介類、肉、牛乳、野菜・果物、ナッツ類などの食品がCOVID-19の回復にプラスの効果があることが示されている。
・本研究では、入院していない患者の回復期間は食事スコアの増加に伴って有意に短くなり、男性、若年、未婚の患者では回復期間が顕著に短かった。
・本研究では、入院患者の回復期間は食生活のスコアが良好な患者でも有意に長かった。入院患者が遭遇する交絡因子を反映していると考えられる。(例えば、過体重や肥満、病院環境で遭遇するストレス)。
本研究の結果は、高齢と肥満がCOVID-19などの感染症からの回復時間を長引かせることを示す過去の文献と一致している。
・健康的な食事にかかわらず、肥満はCOVID-19の重症化するリスクを約3倍にし、肥満(またはBMI値の増加)とCOVID-19の重症化との関連は年齢、性別、喫煙状況、高血圧、糖尿病、脂質異常症を調整しても有意に保たれていた。