共役リノール酸 cis-9,trans-11-CL(CLA)の摂取は認知症の予防と治療に有益かもしれない。
Dietary cis-9, trans-11-conjugated linoleic acid reduces amyloid β-protein accumulation and upregulates anti-inflammatory cytokines in an Alzheimer’s disease mouse model
北海道⼤学が共役リノール酸(CLA)cis-9, trans-11 CLAを摂取したアルツハイマー病マウスモデルで脳内炎症を抑制するサイトカインが誘導されることを発見した。
・海馬におけるアミロイドβタンパク質(Aβ)濃度の低下
→Aβ蓄積量の減少は、抗炎症性サイトカインであるIL-10とIL-19のアップレギュレーションを伴う
→血液脳関門(BBB)を修復して炎症による白血球の移動を制限するなどの神経保護機能
・ミクログリアの数の増加
→大脳皮質と海馬の両方でミクログリアの数が増加する。ミクログリアは脳内のアミロイド斑やアポトーシス細胞などの不要物の排除に関与している
・海馬におけるc-9, t-11-CLA-LPCの相対量は、大脳皮質に比べて約100倍高かった。大脳皮質よりも海馬でより強くAD病態に影響を与えることと関係があることを示唆。
食事で摂取したc-9, t-11-CLAは脳内に入り炎症の抑制など、ADに対して有益な作用を示すと考えられる。ADの記憶喪失には、Aβ蓄積による神経炎症が深く関与していると考えられている。c-9, t-11-CLAを摂取することで、脳内の抗炎症性サイトカインが増加し、さらにPPARγの活性化を介して神経炎症が抑制される可能性がある。また、末梢性免疫細胞に影響を与え、脳内の抗炎症を促進する可能性がある。
c-9, t-11-CLAの主な摂取源は乳製品や反芻動物の肉。
t-10, c-12-CLAの主な摂取源はマーガリンやショートニングなど水素添加された植物油。
一部ではCLAは「トランス脂肪酸が〜」と忌み嫌われているようだが、上記のような有益な側面もある。