近年、様々な研究によって特定の細菌が健常組織と疾患組織の病態生理に寄与しているという知見が得られており、マイクロバイオームの分野の研究は新時代を迎えている。
特に乳がんの分野では、乳腺腫瘍常在細菌が腫瘍の発生と進行に不可欠な存在であると考えられるようになっている。
リンクのデータは、乳がん発生と転移における乳腺腫瘍常在微生物の役割を例示する最近の知見を紹介、また、それらの現象に対する機序的説明を提供する、非常に興味深いレビュー。
レビューにまとめられている発見は、乳がん治療や予防のための新たなターゲットとなりうる腫瘍内微生物の同定に非常に役立つだろう。
【要約】
乳腺腫瘍が様々な種類の微生物を保有していることは以前から知られていたが、これらの腫瘍常在微生物がどこから来て、どのように乳癌の病態形成に寄与するのかはほとんど知られていなかった。
最近の発見により、これらの腫瘍常在微生物は体のさまざまな部位からやってきて腫瘍細胞内に住み着き、DNA損傷やゲノムの不安定性といった腫瘍形成の機序だけでなく、腫瘍の進行や転移にも関与していることがわかった。
Microbiome—Stealth Regulator of Breast Homeostasis and Cancer Metastasis
乳房組織の微生物叢
ヒトの乳房には他の身体部位とは異なるユニークな微生物叢が存在し、乳房の健康だけでなく子孫の健康にも重要な役割を果たしている。乳房微生物叢は、皮膚組織の微生物叢よりも多様性が高く(α多様性が高い)、微生物叢組成のサンプル間差(β多様性)も皮膚と比較して乳房の方が高いが、一方で種の相対的存在量(シャノン指数)は両者間で類似している。
これは、存在量が多くない微生物種に大きな違いがあるためで、この乳房微生物叢の特徴は、年齢、国籍、分娩状況が異なる個体で共通して観察される。
健康な乳房微生物叢と乳腺腫瘍微生物叢には明らかな違いがある。例えば、18歳以上の女性の健康な乳房組織で最も豊富な細菌門はプロテオバクテリア(Proteobacteria)とファーミキューテス(Firmicutes)であるのに対して、乳腺腫瘍ではこれらの細菌は少ない。健康な乳房組織に豊富に存在するこれらの細菌の多くは、健康な組織の微小環境を保護するために抗腫瘍活性や免疫原性活性を付与する有益な生体物質を産生する。
乳腺腫瘍微生物叢
乳癌は、ホルモン受容体であるエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)を発現するルミナルA型、ERとPRに加えてヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を発現するルミナルB型、HER2陽性型(HER2+/ER-/PR-)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC;ER-/PR-/HER2-)など異なるサブタイプが存在する。
しかし、それぞれのサブタイプに対する標的療法において乳癌耐性が頻発していることから、早急に他の治療戦略を開発することが求められており、乳腺腫瘍微生物叢を標的とする介入が近年注目を集めている。
腫瘍内の微生物は免疫細胞と同様に多くが腫瘍実質内に局在している。正常組織の微生物も実質細胞内に存在すると考えらることから、腫瘍内微生物の主要供給源となる可能性が提唱されているが、実際には乳腺腫瘍微生物叢は健康な乳腺微生物叢とは大きく異なっており、腫瘍形成の際に体内の他の部位からの細菌移行がかなり影響していることを示している。
乳腺腫瘍微生物叢は、一般にフソバクテリウム属、アトポビウム属、グルコナクターバクター属、ハイドロゲノファーガ属、ラクトバチルス属に富み、プロテオバクテリア属やファーミキューテス属に富んでいる正常乳腺微生物叢とは異なる。
乳腺腫瘍微生物叢は、細胞増殖、代謝経路、免疫学的応答の調節異常と関連しており、腫瘍の増殖と進行に寄与している。
一方で、正常な乳房微生物叢はシステインおよびメチオニン代謝、糖転移酵素、脂肪酸生合成の増加と関連し、免疫学的応答を促進する。
さらに、乳腺腫瘍微生物叢は健康な乳腺微生物叢と比較して腸内細菌科とブドウ球菌に富んでおり、両細菌は宿主細胞の悪性化を誘導するDNA損傷を誘発する遺伝毒素を産生する。
加えて、乳酸酸性乳酸菌も乳腺腫瘍微生物叢に豊富で、pHを低下させ、腫瘍微小環境(TME)の代謝再配線を誘導し、腫瘍の化学療法や放射線耐性につながる可能性がある。
これら3分類群の乳腺腫瘍関連細菌は、腫瘍細胞とともに転移部位に運ばれ、腫瘍の転移とコロニー形成を促進することも判明している。
乳がんサブタイプ特異的微生物叢
異なる腫瘍型は異なる微生物組成を有し、異なる組織/TMEの影響を示す。
乳がんも、腫瘍のサブタイプ(ルミナルA、ルミナルB、HER2+、トリプルネガティブ(TN)タイプ)が異なれば微生物組成も異なる。これは、異なる乳腺腫瘍サブタイプ間における分子・代謝プロファイルや由来細胞の不均一性が、異なる微生物叢の適合性に影響を与えることを示している。
テネリキューテス、プロテオバクテリアおよびプランクトミケス属は、内腔サブタイプ(ルミナル AおよびB)に豊富。
ルミナル A腫瘍で最も豊富な属はキサントモナス属(プロテオバクテリア門)で、ルミナル B腫瘍ではクロストリジウム属(ファーミキューテス門)である。
HER2+乳腺腫瘍では、アッケルマンシア(ウェルコミクロビウム門)、サーミ、ファーミキューテス(フィリバスター、アナエロスティペス、グラニュリカテラ_US31)、バクテロイデス (クロアチバクテリウム、アロプレボテラ、ダイアドバクター)、プロテオバクテリア(バークホルデリア、ヘリコバクターピロリ、PRD01a011B、ステークラマ、ブラストモナス)が多い。
Triple Negative乳がんでは、ユリアルコータ属、シアノバクテリア属、ファーミキューテス属、プレボテラ属、アルカノバクテリウム属、ブレビュンディモナス属に富む。特に、TN腫瘍におけるリステリアフライシュマン(ファーミキューテス属)の存在は、上皮間葉転換(EMT)経路の活性化と強く関連していることが示されている一方、シュードモナドータの存在は腫瘍の成長と細胞周期の進行と相関している。
人種/民族特異的乳がん微生物叢
乳癌罹患率は白人女性で最も高く、死亡率は黒人女性で最も高い。乳癌の免疫学的パターンは人種間で大きく異なる(例えば、アジア人はTh1細胞(IFNγ)と巨核球が多い。白人は脂肪細胞、造血幹細胞、内皮細胞が多い。黒人は活性化樹状細胞、B細胞、間葉系幹細胞、CXCL9発現が多い)。
乳腺腫瘍微生物叢の組成も人種によって異なり、これが他の腫瘍特性における人種差に寄与している可能性がある。
ある研究では、非ヒスパニック系白人女性の乳腺腫瘍では キサントモナス属が最も豊富である一方、非ヒスパニック系黒人女性の乳腺腫瘍ではラルストニア属が最も豊富であることがわかっている。また、非ヒスパニック系白人女性の腫瘍では、非ヒスパニック系黒人女性と比較してバクテロイデーテス門が豊富であることも判明している。
また、バクテロイデーテス門が白人女性のTN乳がんにおいて過剰発現し、黒人女性のTN乳がんでは放線菌門とおよびブラディリゾビウム属の発現が低く、黒人女性のTN腫瘍は隣接する正常組織と比較してシャノン多様性の減少を示したが、白人女性ではその傾向は逆転することも報告されている。
乳腺腫瘍の細菌バイオマーカーが人種間で異なっていることを報告した研究では、アジア人患者では、シュードモナス、テラバクター、クロストリディオイデス、イーストゥアリバクター、サクシニモナス、カテリコッカス、ロイコバクター、リゾビウム、ロドコッカス、メチロバクテリウムおよびプランクトピラスが上昇することがわかっている。
上記のように人種的に異なる細菌は、宿主の異なるmiRNAやmRNAを制御する異なる代謝産物を産生し、転移予測因子レベルの違いに寄与している可能性がある。
細菌代謝産物
細菌が産生する代謝産物は、有益な効果を発揮することがわかっている。例えば、母乳中の酪酸、酢酸、ギ酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)は乳児の体重増加や脂肪率を促進する。
また、細菌のリジン脱炭酸酵素によって産生される代謝産物であるカダベリンは乳がんの進行と転移を抑制することが分かっているが、乳がん患者では合成が低下している。
インドールプロピオン酸(IPA)は細菌によるトリプトファン代謝産物で、アリール炭化水素受容体やプレグナンX受容体を活性化することで細胞賦活作用を示す。IPAを乳がん細胞に異所的に作用させると増殖と転移が抑制されることがわかっている。
一方で、別の細菌由来の代謝産物群は乳がんの増殖を悪化させる。例えば、キューインは、クロストリジオイデス・ディフィシルやクラミジア・トラコマティスなどの特定の病原性細菌がその病原性を促進するために合成する核酸塩基で、特定の転移RNA(tRNA)に組み込まれ、乳がん細胞の細胞増殖や遊走に関与する遺伝子の発現を促進する。
最近の研究では、クロストリジア、ビフィズス菌、コリオバクテリアなどの常在細菌群が産生する細菌代謝物トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)の抗腫瘍効果が報告されている。TMAOはCD8+T細胞やM1型マクロファージの殺腫瘍活性を促進する。
乳房腫瘍関連細菌
正常乳房組織と癌乳房組織における細菌代謝産物レベルの違いは、主に微生物組成の違いに起因している。
乳房組織におけるスフィンゴモナス・ヤノイクヤエとメチロバクテリウム・ラジオトレランスの比率の低下は乳癌リスクの上昇に関連している。
乳酸桿菌、ブドウ球菌および腸内細菌科細菌は、健康な乳房組織と比較して腫瘍に隣接する正常乳房組織でより豊富であり、腫瘍形成過程に寄与していることを示している。
乳腺腫瘍常在菌の起源
乳房腫瘍常在細菌は、正常乳房組織、すなわち乳房皮膚、哺乳中の乳児の口腔、腸-乳房軸を介した母親の腸、および口腔-乳房軸を介した母親の口腔に存在する細菌と同様の起源を持つことが提唱されているが、これらの細菌がどのようにして離れた腫瘍に移動してきたかは不明のまま。腫瘍で発見された細菌株はほとんどが腸内細菌叢に存在していることから、腸-乳房軸の可能性が高い。口腔内細菌叢も乳房腫瘍常在菌の潜在的供給源の一つで、特にヒトの主要な口腔内細菌であるフソバクテリウム・ヌクレアタムは乳腺腫瘍細胞で一般的に検出される菌だが、腸ではほとんど検出されないため循環系を介して腫瘍に到達すると予想される。
ある研究では、腫瘍に隣接する正常乳房組織の細菌は、乳房腫瘍と正常組織の中間の組成を持つことが示されており、これは隣接組織間の細菌の移動があることを示している。
フソバクテリウム・ヌクレアタム
フソバクテリウム・ヌクレアタムは口腔内でよく見られる日和見菌で、歯周炎や口腔癌の原因菌である。この細菌は様々な種類の癌、特に大腸癌において、健康な組織と比較して増加している。また肝転移とも関連していることから、この口腔病原体が広範囲に広がっていることを示している。この菌は、腫瘍細胞内ではTNFα、NF-kB、IL-6/IL-8経路を介して炎症性シグナルを誘導し、腫瘍の増殖、EMT、転移、治療抵抗性を促進する。またNK細胞を介した腫瘍細胞の殺傷とT細胞の腫瘍への浸潤を抑制する。
レンサ球菌
レンサ球菌は、転移した乳がん細胞の転移とコロニー形成を促進することが発見された。
ストレプトコッカス・ミュータンスはう蝕(虫歯)に関連するグラム陽性菌で、この細菌はToll様受容体2を通して内皮細胞に侵入し、炎症性IL-6/IL-8と単球走化性タンパク質-1(MCP1)の産生を誘発する。炎症を起こした内皮細胞は血管透過性を上昇させ、様々な全身状態を引き起こす。例えば、ストレプトコッカス・ミュータンスを静脈注射すると、肺血管の炎症(血栓症など)が誘発され、乳癌の肺への転移が促進されることが示されている。
さらに、もともと野生動物の気道から分離されたS. cuniculiInは、浸潤時のせん断応力に抵抗するためにアクチン細胞骨格を再編成することで腫瘍細胞の転移能を促進することが示されている。
ブドウ球菌と腸内細菌科細菌
ブドウ球菌と腸内細菌科細菌は、宿主細胞内でDNA損傷を引き起こす可能性がある。
ブドウ球菌は、毒素であるαフェノール可溶性モジュリン(PSMα)と特異的リポ蛋白(Lpls)を産生する。PSMαはDNA損傷を誘発し、一方LplsはDNA損傷修復シグナルを弱め、宿主細胞のゲノム完全性を損なう。
上気道や皮膚に存在する黄色ブドウ球菌は、エフェクターT細胞を抑制し、制御性T細胞を促進することで腫瘍微小環境(TME)の免疫原性を低下させる。
皮膚常在菌であるスタフィロコッカス・キシローサスは、浸潤時に流体せん断応力(FSS)に抵抗するためにアクチン細胞骨格を再編成することで腫瘍細胞の転移能を促進する。
腸内細菌科細菌(大腸菌やサルモネラ菌など)は、そのほとんどが腸内常在菌であり、これらの細菌による全身感染はがん患者によくみられる合併症である。
ブドウ球菌と同様に、腸内細菌科細菌、特にポリケチド合成酵素(pks)アイランドを持つ細菌は、DNAの二本鎖切断を引き起こす遺伝毒素コリバクチンを産生する。また、DNA損傷時にp53癌抑制因子の発現を阻害し、宿主細胞のゲノム不安定性を助長する。
また、腸内細菌科細菌に感染した宿主腫瘍細胞は殺菌性のリゾホスファチジルコリンを産生する。このリゾホスファチジルコリンは乳癌で上昇し、腫瘍の増殖と転移を促進することが判明している。
乳房における細胞内微生物の役割
ゲノム不安定性/突然変異
ゲノム不安定性と突然変異の誘発は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ウシ白血病ウイルス(BLV)などの微生物による主要な発癌メカニズムの一つである。これらのウイルスは、ウイルスゲノムを宿主の染色体に組み込んで遺伝子変異を誘発し、組み込まれたウイルスゲノムによってオンコプロテインが産生される。例えば、HPV E7オンコプロテインは、I型インターフェロンや炎症性因子の発現に関与するcGas-STING経路を直接阻害し、免疫逃避を引き起こす。EBV LMP1オンコプロテインは、細胞増殖に関与するNF-κB経路などの発がん性シグナル伝達経路をアップレギュレートする一方、MMTVオンコウイルスに感染した細胞はSrcチロシンキナーゼ経路の活性化によってアポトーシスを免れる。
pks+大腸菌やバクテロイデス・フラジリスなどの発癌性細菌は、DNA損傷を誘発する発癌性毒素を分泌し、その結果、腫瘍の発生や死亡率が上昇する。バクテロイデス・フラジリスが産生する毒素はスペルミンオキシダーゼという酵素の発現を促進し、DNA損傷を引き起こす活性酸素種(ROS)を産生する。
フソバクテリウム・ヌクレアタムはFadAを分泌し、E-カドヘリン/β-カテニン経路を活性化してチェックポイントキナーゼ2(CHK2)をアップレギュレートし、DNA損傷を誘導する。また、Ku70/p53 DNA損傷修復経路をダウンモディファイし、DNA二本鎖切断(DSB)を悪化させる。
乳癌から分離された大腸菌と表皮ブドウ球菌は、子宮頸癌細胞でもDSBを引き起こし、非組織特異的な腫瘍形成性を示すことがわかっている。
EspFエフェクタータンパク質を発現するピロリ菌と大腸菌は、DNAミスマッチ修復機構を抑制し、ゲノムの不安定性と腫瘍形成を増大させる。
細菌代謝産物もまたDNA損傷を誘発し、腫瘍発生を促進する可能性がある。
乳腺腫瘍組織には発癌性酵素であるβ-グルクロニダーゼが高レベルで存在し、2-アミノ-3-メチルイミダゾキノリンから反応性中間体を生成してDNA損傷を誘導する。
さらに、ストレプトコッカス・アンギノサスとポルフィロモナス・ジンジバリスは、エタノールをアセトアルデヒドに変換し、DNA付加体を形成したり、DNA修復酵素を阻害したりして、DNA損傷を引き起こす可能性がある。
リステリア菌は、腐敗した食品中に見られる細胞内病原体である。リステリア・モノサイトゲネスは強力な自然免疫学的および適応免疫学的応答を誘導するため、長い間がんワクチンの開発に利用されてきたが、この細菌は乳癌細胞内にも存在し、腫瘍細胞の増殖と転移を促進し、患者の予後を悪化させる可能性がある。腫瘍内リステリア・モノサイトゲネスは、アクチン核形成タンパク質ActAを介して腫瘍細胞の細胞骨格再編成を誘導し、循環中のFSS下で腫瘍細胞の生存を促進する。このアクチン核形成は、腫瘍細胞の転移を制御するTAK1-p38 MAPキナーゼシグナル伝達を活性化するユビキチン結合酵素Ube2Nをリクルートする。
腫瘍内フソバクテリウム・ヌクレアタムも、いくつかの異なる機序によって腫瘍細胞浸潤を促進し、免疫反応を抑制する。まず、フソバクテリウム・ヌクレアタムは宿主細胞との結合を助けるアミロイドタンパク質である病原因子FadAを産生する。FadAはMir4435-2HGをアップレギュレートし、SNAIL1の発現を誘導して宿主細胞の上皮間葉転換(EMT)を誘発する。
さらに、MMP-9の発現を上昇させ、細胞外マトリックスを分解して腫瘍細胞の浸潤を助け、ALPK1/NF-κB軸を介して接着分子ICAM1の発現を上昇させ、腫瘍細胞の内皮細胞への接着を促進する。また、フソバクテリウム・ヌクレアタムは細胞外小胞の産生を誘導し、隣接する腫瘍細胞におけるTLR4の発現を促進して腫瘍細胞の増殖と転移を助ける。
フソバクテリウム・ヌクレアタムの影響はまだある。
フソバクテリウム・ヌクレアタムは免疫チェックポイント受容体であるTIGITとCEACAM1の発現を上昇させ、免疫反応を抑制する。また、NK細胞やT細胞を含む腫瘍浸潤リンパ球を直接侵襲し、死滅させる。
上記のようにフソバクテリウム・ヌクレアタムの腫瘍増殖における影響は多岐にわたる。
注目すべき腫瘍転移関連細菌として、結腸や乳腺腫瘍に多く存在するバクテロイデス フラジリスも挙げられる。この細菌は炎症性大腸疾患に関連する亜鉛依存性メタロプロテアーゼであるエンテロトキシン、B. fragilis毒素(BFT)を産生する。腫瘍内に産生されたBFTは、SlugやTwistといった幹細胞/EMT関連遺伝子の発現を誘導することで乳癌細胞の増殖および転移能を上昇させる可能性がある。BFTが腫瘍細胞表面のE-カドヘリンの切断を誘導し、β-カテニンとNotchエフェクターNICDの核局在を誘発することがそのメカニズムと考えられている。それらのシグナル伝達経路の活性化は、腫瘍の幹細胞化と転移を大きく促進する。
・・・また一歩、乳癌の発生と転移の真実に近づくことができました。
こういったマニアックな論文に出会わなければ、腫瘍における微生物の役割だとか、潜在的な治療標的について考える機会はなかなか無いので、研究者の方々には心から感謝しています。
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