最近の統計では、変形性関節症(OA)の有病率の増加、経済的負担、生活の質(QOL)に対する有害な影響により、OAは緊急の世界的な公衆衛生問題となっている。
したがって、一刻も早い予防的アプローチの策定が課題となっている。
現在、OAリスクが高く、身体機能が低下た高齢者における代替治療法として抗酸化物質の使用が検討されている。
最近の研究では、OAによる軟骨損傷を防ぐために抗酸化物質の使用に焦点が当てられている。筋力改善と増加、身体機能の促進、OA進行リスクの減少が報告されているが、矛盾する結果も報告されており結論は出ていない。
リンクの研究は、抗酸化物質が変形性膝関節症(KOA)症状の寛解に有効であるという仮説を検証した系統的レビューとメタアナリシス。
結果
抗酸化物質がKOA関連症状を減少させることが示された。
結果は統計的に有意ではなかったが、臨床症状の変化が報告され、介入の簡便さと費用対効果の点からOAリスク群の一般食における抗酸化ビタミンの摂取を増やすことが推奨される。
KOAにおける疼痛緩和と機能に対する有益性を最も証明した抗酸化サプリメントは、クルクミンベースのものだった。
The effects of antioxidants on knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis
・KOAに対する抗酸化物質の効果に関する初の包括的研究。
43の臨床試験と、6,605人の参加者を対象とした。
このうち10件の試験は多施設RCTとしてデザインされた。
グルコサミン、ココナッツオイル、ビタミンD、ショウガ、ボスウェリア、ビタミンEなどの物質が、化合物の形、または他の治療と一緒にサプリメントとして処方された。
・信頼性の高い心理測定手段であるVASを用いて検出した結果によると、抗酸化物質治療後に達成されたKOA関連症状の特徴に有意差があることが明らかになった。
WOMACによって報告された結果では、複合スコア、困難スコア、痛みスコア、硬さスコアに有意差はなかった。
・全体として、KOA患者におけるこれらの化合物の効果は、主に症状の予防、軽減、緩和であり、臨床症状の治療と完全な緩和はほとんど成功していない。
・多くの関連研究により、抗酸化物質の様々な成分が痛み、こわばり、腫れを軽減し、身体機能を改善するのに有効であることが示されている。
KOA患者の疼痛管理及び機能改善に最も有効であるというエビデンスがある抗酸化サプリメントは、クルクミン、アボカド、大豆、ビタミンDとEをベースとしたものだった。
考えられる作用機序として、抗酸化物質は関節内の細胞から発生する活性酸素に対して作用して酸化的損傷の遅延および停止、T細胞やB細胞の機能に対する免疫調節作用がある。
これらのメカニズムは、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイドについても、これまでのin vivo研究によって確認されている。
・OAリスク群、特に感受性の高い民族研究において一般食における抗酸化物質の摂取量を増やすことが推奨される。
KOAとその合併症リスクが高い多くの対象者は、抗酸化物質と抗炎症物質の組み合わせが有効である可能性がある。